大切な友達が死んだ。
死因は癌。
見舞いに行ったときには「絶対克服します。」って約束。
だから持って行った見舞金は「治ったら倍にして返してよ」って言った。
彼は「もちろん」と笑顔で応えてくれた。
彼の見舞いに行ったのは、彼からメールが来たから。
「櫻井さん話があります。電話いいですか?」って。
僕から電話をすると、「すみません、余命3か月って言われました。」
って元気な声で僕に言った。
耳を疑う。
「なに?」
「余命3か月って言われました。ああ、でも言われただけです。3か月で死ぬ気は今のところありませんので。」
「なんで?」
「癌です」
「なんで?」
「何でですかね?急に体調が悪くなってあれよあれよです。」
多分、こんな会話だったと思います。
すぐに見舞いに行った。とにかく顔を見たいって思って。
もしかしたら、こういう思い立った行動で
彼がゆっくりできずに疲れが溜まって・・・
今考えれば後1日生きれたかも。。。
って思いたくないけど、今でも何かの拍子にふと考えます。
病院で対面。
やせ細った身体と声で「わざわざすみません。ありがとうございます。」
という彼に僕は「元気そうやな。」って・・・。
何言ってるんだか意味が分からない。
でも彼は「ですね。まあまあです。」って。
隣には、奥さんと生まれてすぐの娘さんの写真。
まだ死ねない理由。
「人間いつかは死にますが、今じゃないんです。」って。
それから彼は何度も意識を切らしては目を覚ます。
を繰り返したらしい。
僕がメールで「どうだ調子は?」って送信した時も
1週間後ぐらいに「いやあ、やばかったです。意識がなくなったらしくて(笑)でも戻ってきました。」って。
彼は死ぬギリギリまで生きました。
生きたというのは、単に命があるということだけではなく、1回しかない人生を懸命に生きたということ。
それから少しして、「亡くなりました」と奥さんから電話。
見舞金を倍返しするという約束を守らずに。。。
僕は仕事前に集中する時間を作ります。彼を思い浮かべて。
彼との付き合いは、新入社員研修の講師と受講生という関係から始まったから。「僕の人生に大きな影響を与えた人だ」って言ってくれた彼。もちろん僕の力なんて微力。この研修はある企業のコンテンツを扱ったものだし、僕を支えてくれる全てがあって、たまたま僕が彼のクラスを担当しただけだから。
でも、それでも仕事が怖くて緊張してどうしようもない時には彼の言葉を思い出すようにしています。
生かされていることに感謝をしながら、
26歳で天国に行った彼の言葉を支えに仕事をしようと思います。
僕は何に命を使うのか?
しっかりと考えて一日一日を大切に生きます。